ツイストドリルは被削材内で切削を行ないますから、他の工具にない制約を受けます。中でも厄介なのは、ウエブの先端つまりチゼル部での切削現象です。
一般のドリルではこの部分は大きな負のすくい角となっており、切削というよりはむしろ押し込みに近い作用が起こっていて、この部分のスラスト荷重はドリルのスラスト荷重の50%以上を占めているといわれています。そこでチゼル
部を小さくして性能を向上させようとしてウエブを薄くすると、工具として必要な剛性が保てず、強力な穴あけ加工を行なえなくなります。従来からもチゼル部の切削性を向上させるために種々のシンニングと呼ばれるチゼル部の研削法が開発されてきましたが、いずれも不完全なもので、この問題を根本から解決することはできなかったのです。ドリルの穴あけ性能が一向に改善されず、時代の要求に添えなくなったのはこのためです。そこでHOSOIは徹底的にチゼル部の切りくずの挙動を研究・解明した結果、ホソイ理論とそれに基づく形状を極めて簡単に研ぎ出せるu-nice研削盤を開発・実用化しました。このu-nice研削盤の出現でチゼル問題で完全に解決されました。これによって研削されたドリルは、従来の研削法と比べ格段に高性能化します。
U-niceの切りくずこそ理想の切りくず
従来のドリルで発生する切りくずに係るトラブルは、円錐らせん形の切りくずを理想と考え、先端角118°を最良と信じてきたことにあります。→詳しくは